古代の日本

古代の日本の神話や物語でも鍵が登場します。

はっきりとした鍵という仕組みではありませんが扉を閉ざす物語として天照大御神が天岩屋にこもってしまうという話が有名です。
天照大御神は太陽を司る女神様です。この神様が閉じこもってしまったことで世界が真っ暗になってしまいます。これは日食を表しているのではないかという解釈がされています。
世界が大騒ぎでなんとかして天照大御神を外に出そうとします。
力自慢の天手力雄命が天の岩屋を開けようとしますが、戸に引っかかりがないためか開くことがでいませんでした。
しかし、天宇受売命が岩屋の前で踊りを踊りだし、胸をさらけ出して陰部まで着物を押し下げて踊りだすと八百万の神々は大笑いします。
それを岩屋のなかで聴いていた天照大御神は外の様子が気になって岩戸を少し開けます。
そうして隙間が開いたために天手力雄命が思いっきり天照大御神の手をひっぱって外に出したとされています。

原文では「天石屋戸を開きて、刺しこもり坐しき。」と書かれています。これはもともと閉じていた扉を開いて中に入ったという描写と解釈できます。「刺し」というのは何かというと鍵をかけるという動詞だという解釈が有力です。昔は鍵をかけることが「戸をさす」というふうに言われていました。昔の鍵は落とし鍵と言われて、紐で結わえてある鍵を床に挿して使っていたのです。この鍵を古代から使っていたかはわかりませんが、古事記が書かれた時代にこのように書かれていたのかもしれません。
もしくはカンヌキのような形状のカギから「さす」という動詞で表現されていたのかもしれません。